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2012年 08月 13日

XX KLUV3

第16回〈BiS 其の三〉

そうして彼女達はアイドルになった。

BiSという名前で活動している。

その後の活躍はご存知の通りだ。

信じられないかもしれないが、これはノンフィクションだ。

そして、それから二年後ー。



「BiSのチケット取れた⁇」
「東京ドーム⁈取れるわけね~じゃん‼一分で即完だってよ」
「だよな~」

日比谷線の車内の男子高校生の会話。
俺はニヤつきながら、その横をすり抜けてホームに降り立つ。

ホームにはBiSの看板。
ニューアルバムの広告。


今や、アイドルと言えばBiSだと言われるまでになった。

階段を駆け上がると寺島さんが手を振っている。

「お疲れ様~」
「お疲れ様~じゃないよ‼車ん中にいなきゃダメでしょ?君はトップアイドルなんだから‼」
「トップアイドルと言えども大事なマネージャーの出迎えぐらいはいたしますよ!」

会社を辞めた俺はいつのまにかマネージャーになっていた。


車に乗り込む。

みんないる。
プーは寝てる。
「お兄ちゃんおはよう‼」
ユリカは満面の笑顔だ。

のぞしゃんは化粧をしている。
ミッチェルはガムを噛みながら携帯ゲームに夢中だ。

青山のスタジオ。

今日はドーム公演のリハーサルだ。

淳之介こと渡辺さんがいる。

「お疲れ~。時間ないからすぐ打ち合わせしちゃおっか」
「わかりました~」

5人を座らせる。

打ち合わせが終わり、昼飯のあと、軽いダンスレッスン。

それが終わったらプーとミッチェルはラジオ、他の三人は雑誌の取材が入っている。

「お疲れ様です。じゃあ、プーちゃん、ミッチェル行こっか」

同期のマネージャーさゆりちゃんだ。

さゆりちゃんは元アイドル志望で、今はBiSに自分の思いを重ねているらしい。

「あ、あとでメールしますから」
「わかった」

寺島さんには言えないが、さゆりちゃんと俺はちょっと前から付き合い始めていた。

しかしそこは分刻みのトップアイドルのマネージャー同士。ろくにデートも出来ないのだが、それでもさゆりちゃんは隙を見て会いに来てくれたり、時間が空けば家にやってきてくれた。

でも何か俺もこれが恋心なのか判断出来なくて、キスもエッチもしない日々が続いた。

その日の夜もリハ終わりで、数時間あるからって、六本木で待ち合わせをした。

「うふふ」
「うふふって…何かさゆりちゃん感じ違わない?」
「わかる?」
「お化粧だ‼」
「そう‼わかる?」
「かわいいね」
「え?」
「いや、だから、かわいい…ね」
「もう‼大人メークなんだけど‼」
「かわいいって…褒め言葉だよ?」
「疲れた‼」
「え?」
「もう、疲れたわ」
「それじゃ送ってくよ」
「知らない‼」

その後、さゆりちゃんはずっと不機嫌でさっさと帰ってしまった。

その一週間後。

夜中までテレビのロケが終わり、BiSのメンバーを送り届けると、さゆりちゃんからメールが来た。

「お家行く。ちょっと話あるから」

家でぐったりしていると、呼び鈴が鳴った。

「どうぞ」
さゆりちゃんが無言で入ってくる。

「どしたの?」
「誕生日だったじゃない?先週」
「あ。さゆりちゃんのね。指輪あげたじゃない‼」
「違うの。その後さ、家帰ったら渡辺さんが家の前まで来てて」
「え?」
「おめでとうって薔薇の花束。それに手紙も」
「え?手紙?」
「好きだって」
「あ、そうなんだ」
「あ、そうなんだって!キミはそれでいいの?」
「渡辺さんの気持ちだから、それは。俺がとやかく言うことじゃないし」
「何なの‼上司に彼女が告られてるんだよ?ヤバイとか思わないの?」
「ヤバイ?何が?」
「感想は?それだけ?」
「んー。よかったね」
「よ、よかったねって!それでいいわけ?私、渡辺さんに取られちゃうかもしれないんだよ?」
「さゆりちゃんの気持ちが渡辺さんにあるんなら仕方ないと思う」
「あーもう!私のこと本当に好きなの?」
「うん。好きだよ」
「知らない‼もう‼」

結局二人は自然消滅。

俺はBiSの担当を外れることになった。

マネージャーとして最後の夜。

打ち上げをして泣きじゃくる寺島さんに手を振り一人事務所に戻って明日からの仕事の整理をしていた。

すると廊下で声が聞こえた。

「わ、渡辺さん、困ります」
「さゆりちゃん、もういいだろ?俺の気持ちわかってんだろ?」
「私、好きじゃありませんから!渡辺さんのこと‼」
「ふざけんな!薔薇返せ‼10万もしたんだぞ‼」

俺は無意識に廊下に出ていた。

「あ!お前いたのか!」
驚く渡辺さんをぶん殴って
「さゆり、行くぞ」
と、さゆりちゃんの腕を引っ張り歩き出した。


その後、俺は色々あってさゆりちゃんと結婚した。

BiSのメンバーも式に来てくれた。

ぶん殴った渡辺さんもバツが悪そうだったけど参加してくれた。

プーが二次会でさゆりちゃんのとこへ来てつぶやく。
「さゆりさん。私達の今度出すCDに一曲、歌詞を書いてくれません?」
「え?」
「このダメマネージャーとのことをw」
「私が…?いいの?」

そして

その曲は「nerve」と名付けられ、彼女達の代表曲となった。





nerve

大人っぽいメークで

決めてきたつもりが

かわいいって言われて 軽く不機嫌

抱いてほしい気分で WOW

疲れたわって言ったら

それじゃ送ってくよって WOW

疲れるわ

その少し優しすぎるとこ

なんとかならないのかな

たまにイラっとしそうになる

そんな君が好きだってこと

わざとロマンティックなシチュエーションを作ってあげても

指にも触れない

カッコつけてるつもり?それとも私のこと好きじゃないの?

勇気がないの?

他の男の人に 花束をもらったよ

よかったねと言われて

もう 悲しいわ

この鼓動どうしてくれるの?

急に低い声で呼ばないで

すごく男っぽい時がある

そんな君がやっぱり好きなんだ

わざとロマンティックなシチュエーションを作ってみるけど

寄り添いもしない

カッコつけてるつもり?それとも私のこと好きじゃないの?

勇気がないの?

その少し優しすぎるとこ

なんとかならないのかな

たまにイラっとしそうになる

そんな君が好きだってこと

わざとロマンティックなシチュエーションを作ってあげても

指にも触れない

カッコつけてるつもり?それとも私のこと好きじゃないの?

勇気がないの?

カッコつけてるつもり?それとも私のこと好きじゃないの?

勇気がないの?




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# by youngas | 2012-08-13 19:51 | XX KLUV3
2012年 07月 28日

落書き発表会

I SAY NO!!

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ただ何となく描くだけです。

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こんにちは、ヤンガスと申します。

落書き発表会_f0182863_14122336.jpg


原発には基本反対です。

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基本的には反対しています。ズルはよくねぇ。

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音楽が基本好きです。

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youngas sogawa

# by youngas | 2012-07-28 14:15 | Drawing
2012年 07月 28日

FACE to FES

『FACE to FES』というイベント絡みで描かせてもらいました。

FACE to FES_f0182863_13481162.jpg
FACE to FES_f0182863_13482847.jpg
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詳細は詳しく知りませんが、8月に代々木でやるみたいです。







youngas sogawa

# by youngas | 2012-07-28 13:49 | Drawing
2012年 07月 16日

XX KLUV3

第15回〈BiS 其の二〉

喫茶室パプリカ。

ドレスの女。学ランの女。目の前に俺。

そして横にはなぜかリクルートスーツの女と着物の女。

頭がクラクラしている。

不穏な空気が流れている。

みっちぇると呼ばれてた学ランサングラスの女がガムを噛みながら、俺を舐めるようににらみつけている。

「あのー…」

第一声はなぜか寺島さんだ。

「これは何なんでしょうか?」
「つーか、お前らが何なんだよ‼」
みっちぇるの叫びが店内をピリつかせる。
「OLのお姉さんはいいけど、そっちの秋田しょうちょう?何だ、あんたは⁉」
「こまちだからっ‼」
のぞしゃんが叫んだ。

「ていうか何これ?どうしたの?」
寺島さんが俺に聞いてくる。

「いや…あの、実は…」
俺の言葉を制してプーがつぶやく。

「ぺろぺろちゅっちゅー代」
「ぺろぺろ?」
首をかしげる寺島さん。

「こいつが姐さんにぺろぺろちゅっちゅーしたんだよ‼その金もらいに来たんだ‼」
店内にこだまするみっちぇるの声。

「とにかくほれ二百万。ほれ‼」
プーが手を差し出してくる。

「美人局だ‼これ‼」
寺島さんが叫んだ。

「聞いたことある‼つつもたせ‼」
のぞしゃんも叫んだ。

「てめー何がつつたも…せだよ‼何だよ?つつ…何だって?」
意味がわかってないみっちぇる。
プーが立ち上がる。
「てか、おめーら、うるせーんだよ‼美人局だよ‼何がわりーんだよ‼てめー、早く金出せや‼」
ネクタイをプーに引っ張られ絶体絶命のタイミングで
「ちょっと待った‼」
と声がした。

男の声。

坊主頭の怪しい風貌。

みんなそいつを一斉に見た。

「俺、あのー、淳之介と言います。事務所やってまして芸能の。お姉さんたちアイドルに興味ないですか?」
「アイドル‼」
子犬のようなキラキラした目でのぞしゃんが満面の笑顔だ。

サングラスをズラし、みっちぇるが淳之介に歩み寄る。
「ある‼」
「へ?」
「アイドルに興味あるよ‼」
サングラスを外すとクリクリした可愛い瞳が現れた。

「キミ可愛いじゃん‼今ね、新しいアイドルユニットを探してんの‼」
「てめーなんなんだよ‼」
さすがにプーがキレる。

「美人局なんて良くないよ。キミお金欲しいならアイドルになろう‼」
「どうしようかなぁ…」
頬を赤らめて寺島さんがつぶやく。

「寺島さんやる気なの?」
思わず聞くと「私アイドルとか、そんなの無理〜」と満面の笑顔だ。まんざらでもねーぞ。

のぞしゃんが淳之介に詰め寄る。
「CDデビューできるんですか?」
「ん?まぁね。君達次第だけど」

「金いくらもらえんの?」
プーが口を開いた。

「そうだなぁ。当たれば二百万なんて簡単だよ」
「マジか‼姐さん、乗っかりますか‼」

「二百万かぁ」

プーが指を折って考え出す。

謎の歌を歌いながら振り付けの練習をし出す寺島さんとのぞしゃん。楽しそうだ。

なんだこのカオス。

と、俺のケータイが鳴る。

「もしもし」
「あ!お兄ちゃん!今どこにいるの?」
妹のユリカだ。そういえば今日上京して遊びに行くとか言ってたな。
「今はマズイからかけなおす」
「てか、お兄ちゃん!うしろ!」
リュックを背負ってケータイを耳に当てたユリカが手を振って立っていた。

「お前!な、なんでここに?」
「渋谷来たからちょっと休もうかなって。あれ?お取り込み中…?」
「あ!私寺島です。あなたは?」

寺島さんがもう横にいる。
「あ、妹のユリカです‼」
「ユリカちゃんも可愛いじゃない!見えて来たなぁ」
淳之介が怪しく舌舐めずりした。



30分後ー。

五人が横に並んで座っている。

「これからは五人が一つになって…」

淳之介が偉そうに講釈を垂れている。

「はいっ‼‼」

元気に返事する五人。


これは何だ?

あ、悪夢だ。

また頭がクラクラしてきた。

つづく

# by youngas | 2012-07-16 23:54 | XX KLUV3
2012年 07月 11日

XX KLUV3

XX KLUV(チョメチョメクラブ)3とはyoungasの試験勉強は音楽を聞いたりテレビ見たりラジオ聞いたりの「ながら族」だったけど、実際の試験の時、たけしとか大槻ケンヂとか電気グルーヴのくだらないトークしか出てこなかったなほうshinodaが憧れのあの娘と全力で妄想恋愛をしてみるキモカワユスなコーナーです。

第14回〈BiS 其の一〉

雨が降りそうな渋谷の駅前。相変わらず平日のこんな早い時間なのに人が多い。

そして俺は今正直参っている。

職場で寺島さんに声をかけられたのは丁度一週間前。

「今夜飲みに行きませんか?」

会社の地下の駐車場の小さな喫煙スペース。

ここは知る人ぞ知る場所で警備員のおっちゃんがたまにタバコ吸ってたりするけど、滅多に人が来ないから俺の聖域だったのだが、経理の寺島さんが突然顔を出して、しかもこの俺を誘ったんだから二重でビックリした。

俺は容姿も頭も普通過ぎるぐらい普通。モテた記憶は幼稚園の時、ゆけちゃんて子が俺がりなちゃんと一緒に手をつないで帰るのを見て泣いてくれた思い出以外なく、バレンタインも第二ボタンも俺の中では漫画か映画の中の空想でしかなかった。

彼女も簿記の専門学校時代に付き合ったヒラノノゾミ以外はいなかった。

ちょっと変わった子で「のんちゃんじゃなくて今日からのぞしゃんで‼」と宣言してきたり、一緒に部屋にいるとやたらとメタルばっかり流してヘドバンしだすしで、あーなんだか大変な子だなと思ってたんだけど、それでも俺は初彼女だしかなり大切にしてたのに、「私アイドルになります。お世話になりました」と突然言って俺の前から去って行ったのだった。彼女が焼いた「ちるぼどべすと☆」と書かれた謎のCDRだけが形見のように部屋に転がっていた。

あれから二年。

何とか仕事にも慣れてきた近頃だが、同僚の曽之川と飲んだ帰りにピンサロ「nerve(ナーヴ)」に行くぐらいしか楽しみはない。

…と、思っていた。

しかし、まさか寺島さんに誘われて、その夜飲みに行き、「二年前からユルキャラにハマってるんですけど、グッズ集め出したら、部屋ん中がミュージアムみたいになっちゃったから見に来ませんか?」の流れで、終電逃してヤっちゃって、それから毎日メールメールメール。しかも「食べちゃいたいッッ(>_<)」とか「そう言えば隣にいた綺麗な人は?」とか自称ストーカーだけあってなんだか重たくもあり。

それでもまぁいいや、可愛らしいからと思ってたのだけど、問題は今だ。

今、俺を参らせているのは昨日のことだ。

曽之川に誘われて行ったクラブ「MY IXXX(マイアイ)」で、へべれけな上に合法の薬を飲まされて、気がついたらラブホのベッドの上。

全裸で寝返りをうち、ベッドから転がり落ちた俺を、タバコをくゆらしてじっと見つめる女がいた。

「よっ!」

気さくな挨拶。で、恐る恐る「よっ!」と返すと、

「よっ!じゃねーし。払えよ、二百万」
「二百…万?」
「トボけんじゃねーつーの。私と夜通しぺろぺろちゅっちゅーしたんだから代金‼」
「へ?」
「へ?じゃねーし!よこせよ!ギブミーユアマニー全部!泣いたりなんかしたくないんだから、私も!」
「ていうか二百万なんてないよ‼」
「はい。出ました。じゃあ、このiPhoneの中の動画がネットで流れていいんだね?」
「いや。何それ?え?」
「まー今ないのはしょうがないから明日、持って来て。朝11時に渋谷な。あたしプー。そいじゃ」
俺がため息をついてると、プーと名乗るその女がまた顔を出して一言。
「逃げれないから。全部アドレスから会社から抑えたから。バイバイプー」

俺は呆然とまた深いため息をついた。


そして今渋谷駅。会社には体調不良と嘘をついた。当然金も用意出来なかったが、日本人の伝統的な土下座で動画のばらまきだけは抑えるべくやってきた。

と、聞き覚えのある声が後ろから聞こえる。

「きりたんぽうめーよー。秋田のきりたんぽうめーよー」

その声に振り返ると、のぞしゃんが着物の上に「秋田小町」と書かれたタスキをつけて、きりたんぽを配っていた。

笑顔で俺の前にやってきて、一瞬固まりのぞしゃんが叫んだ。

「な‼何してんの⁉」

完全に俺のセリフだ。

「待ち合わせだ…けど」
「こんな平日の真っ昼間から待ち合わせって、何やってんの?」
「ていうか、アイドルは?キミアイドルになるんだったんじゃないの?」
「アイドルイズデッド‼アイドルなんて職業は職業欄に無いの‼」

「いた‼」
後ろからまた声がして、振り返る。
ケータイを手ににっこりと寺島さんが立っている。

「やっぱりGPSってすごいね‼」
「お前…何勝手に⁉」
「会社サボって何してんの?ていうかこの子…ダサい。ユルキャラ?」
「誰がユルキャラよ‼私は秋田小町‼」

二人の口論を止めようとしたら、後ろからまた声がする。

「姐さん‼こいつッスか?」

ティアドロップのサングラスになぜか学ラン。ショートカットの女の子だ。

「まぁまぁ、みっちぇる。とりあえず喫茶室に連れてこうか」

プーと名乗っていた女だ。なぜかマリーアントワネットのようなピンクのドレスを纏っている。

寺島さんがボソッともらした。

「コスプレ大会?」

つづく

# by youngas | 2012-07-11 18:11 | XX KLUV3