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2012年 07月 11日

XX KLUV3

XX KLUV(チョメチョメクラブ)3とはyoungasの試験勉強は音楽を聞いたりテレビ見たりラジオ聞いたりの「ながら族」だったけど、実際の試験の時、たけしとか大槻ケンヂとか電気グルーヴのくだらないトークしか出てこなかったなほうshinodaが憧れのあの娘と全力で妄想恋愛をしてみるキモカワユスなコーナーです。

第14回〈BiS 其の一〉

雨が降りそうな渋谷の駅前。相変わらず平日のこんな早い時間なのに人が多い。

そして俺は今正直参っている。

職場で寺島さんに声をかけられたのは丁度一週間前。

「今夜飲みに行きませんか?」

会社の地下の駐車場の小さな喫煙スペース。

ここは知る人ぞ知る場所で警備員のおっちゃんがたまにタバコ吸ってたりするけど、滅多に人が来ないから俺の聖域だったのだが、経理の寺島さんが突然顔を出して、しかもこの俺を誘ったんだから二重でビックリした。

俺は容姿も頭も普通過ぎるぐらい普通。モテた記憶は幼稚園の時、ゆけちゃんて子が俺がりなちゃんと一緒に手をつないで帰るのを見て泣いてくれた思い出以外なく、バレンタインも第二ボタンも俺の中では漫画か映画の中の空想でしかなかった。

彼女も簿記の専門学校時代に付き合ったヒラノノゾミ以外はいなかった。

ちょっと変わった子で「のんちゃんじゃなくて今日からのぞしゃんで‼」と宣言してきたり、一緒に部屋にいるとやたらとメタルばっかり流してヘドバンしだすしで、あーなんだか大変な子だなと思ってたんだけど、それでも俺は初彼女だしかなり大切にしてたのに、「私アイドルになります。お世話になりました」と突然言って俺の前から去って行ったのだった。彼女が焼いた「ちるぼどべすと☆」と書かれた謎のCDRだけが形見のように部屋に転がっていた。

あれから二年。

何とか仕事にも慣れてきた近頃だが、同僚の曽之川と飲んだ帰りにピンサロ「nerve(ナーヴ)」に行くぐらいしか楽しみはない。

…と、思っていた。

しかし、まさか寺島さんに誘われて、その夜飲みに行き、「二年前からユルキャラにハマってるんですけど、グッズ集め出したら、部屋ん中がミュージアムみたいになっちゃったから見に来ませんか?」の流れで、終電逃してヤっちゃって、それから毎日メールメールメール。しかも「食べちゃいたいッッ(>_<)」とか「そう言えば隣にいた綺麗な人は?」とか自称ストーカーだけあってなんだか重たくもあり。

それでもまぁいいや、可愛らしいからと思ってたのだけど、問題は今だ。

今、俺を参らせているのは昨日のことだ。

曽之川に誘われて行ったクラブ「MY IXXX(マイアイ)」で、へべれけな上に合法の薬を飲まされて、気がついたらラブホのベッドの上。

全裸で寝返りをうち、ベッドから転がり落ちた俺を、タバコをくゆらしてじっと見つめる女がいた。

「よっ!」

気さくな挨拶。で、恐る恐る「よっ!」と返すと、

「よっ!じゃねーし。払えよ、二百万」
「二百…万?」
「トボけんじゃねーつーの。私と夜通しぺろぺろちゅっちゅーしたんだから代金‼」
「へ?」
「へ?じゃねーし!よこせよ!ギブミーユアマニー全部!泣いたりなんかしたくないんだから、私も!」
「ていうか二百万なんてないよ‼」
「はい。出ました。じゃあ、このiPhoneの中の動画がネットで流れていいんだね?」
「いや。何それ?え?」
「まー今ないのはしょうがないから明日、持って来て。朝11時に渋谷な。あたしプー。そいじゃ」
俺がため息をついてると、プーと名乗るその女がまた顔を出して一言。
「逃げれないから。全部アドレスから会社から抑えたから。バイバイプー」

俺は呆然とまた深いため息をついた。


そして今渋谷駅。会社には体調不良と嘘をついた。当然金も用意出来なかったが、日本人の伝統的な土下座で動画のばらまきだけは抑えるべくやってきた。

と、聞き覚えのある声が後ろから聞こえる。

「きりたんぽうめーよー。秋田のきりたんぽうめーよー」

その声に振り返ると、のぞしゃんが着物の上に「秋田小町」と書かれたタスキをつけて、きりたんぽを配っていた。

笑顔で俺の前にやってきて、一瞬固まりのぞしゃんが叫んだ。

「な‼何してんの⁉」

完全に俺のセリフだ。

「待ち合わせだ…けど」
「こんな平日の真っ昼間から待ち合わせって、何やってんの?」
「ていうか、アイドルは?キミアイドルになるんだったんじゃないの?」
「アイドルイズデッド‼アイドルなんて職業は職業欄に無いの‼」

「いた‼」
後ろからまた声がして、振り返る。
ケータイを手ににっこりと寺島さんが立っている。

「やっぱりGPSってすごいね‼」
「お前…何勝手に⁉」
「会社サボって何してんの?ていうかこの子…ダサい。ユルキャラ?」
「誰がユルキャラよ‼私は秋田小町‼」

二人の口論を止めようとしたら、後ろからまた声がする。

「姐さん‼こいつッスか?」

ティアドロップのサングラスになぜか学ラン。ショートカットの女の子だ。

「まぁまぁ、みっちぇる。とりあえず喫茶室に連れてこうか」

プーと名乗っていた女だ。なぜかマリーアントワネットのようなピンクのドレスを纏っている。

寺島さんがボソッともらした。

「コスプレ大会?」

つづく

by youngas | 2012-07-11 18:11 | XX KLUV3


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