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2012年 02月 21日

XX KLUV 3

XX KLUV(チョメチョメクラブ)3とはyoungasのガキの固まり王が面白過ぎたのでプライベートで試すことを決めたほうshinodaが憧れのあの娘と全力で妄想恋愛をしてみるキモカワユスなコーナーです。


第8回〈早見あかり〉

退屈過ぎる高校生活。その日の授業中も俺はぼんやりと窓の外を眺めていた。

校庭に誰かいる。制服のショートカットの女の子。花壇のヘリを両手を広げてバランスを取りながら器用に歩いてる。落ちたら危ないのに。
その娘はうまく一周し終えるとゆっくり歩いて校門から外へ出て行った。

何だったんだろ?

その次の金曜日。またぼんやり校庭を見てたらあの娘がまた歩いてる。
俺は思わず手を挙げて「トイレ行ってきます」と教室を出た。

階段を駆け下りて校庭に出たけどあの娘の姿はない。

帰っちゃったのかな?

次の瞬間。俺の頭に小さな塊が当たった。

イテッ!

振り返ると、その娘が立っていた。
「どんぐりだよ!」と笑った顔を見てやっと思い出した。

「あかり‼」

幼なじみのあかりだった。小学校の高学年のクラス替えを境にして全く遊ばなくなっていた。中学も別の所に行ったからその後どうしたのか全く知らなかった。

「あかり、お前何してんの?学校は?」
「学校?行ってないよ」
「制服着てんじゃん。それ城南のだろ?」
「そんなことよりどっか行かない?お腹空いたし」
「お前相変わらず自由だな。俺授業中だよ?」
「じゃあ何でここにいるの?」
「そ、それは、お前が見えたから…」

言い終わらない内にあかりは俺の手を取って歩きだした。驚くほど冷たかったから俺はドキドキしていた。

10分後俺たちは電車に乗っていた。

「どこ行くの?俺確実に荷物そのままだけど」
「荷物なんて明日でいいじゃん」
「明日学校休みだし」
「男のくせにいちいちうるさいな〜」
そう言いながらもあかりは笑顔で楽しそうだ。

2回乗り換えて俺たちは横浜にいた。

「何で横浜?」
「海も見れるし中華食べれるから‼」

中華街を歩く。

「上着持ってくりゃ良かった。超さみー」
「学ランだと修学旅行みたいだもんね‼」
「お前楽しそうだな」
「え?楽しくないの?」
「いや。楽し…」
「あ!あれ食べようよ!ジャンボ豚まん‼‼」

あかりに言われるがままに二人並んでジャンボ豚まんを頬張った。すげーおいしかった。

その後くだらない話をしながら山下公園に向かった。制服の俺たちにはまだなんか大人な場所な気がして恥ずかしかったけど海だ海だとはしゃぐあかりはすげー可愛くて俺もいつのまにか笑っていた。

「綺麗だね海」

さっきまではしゃいでたのに突然あかりの声が曇った。

「どうしたんだよ?」
数秒の沈黙の後あかりがつぶやいた。

「嫌なことあっても負けんなよ」
「なんだよ。急に」
「キミが言ってくれたんだ。昔」
「え?」
「私がアヤとかにいじめられてて学校の階段でうずくまって泣いてたら、汗でビチョビチョのタオルを差し出してキミが言ってくれたの。嫌なことあっても負けんなよって」
その時の記憶が蘇り何だか恥ずかしくなって俺は「飲み物買ってくるわ」とその場を離れた。

あかりが背中越しに「ありがとう」と囁いた。


あったかい飲み物を両手に持って戻って来たけどあかりの姿はそこになかった。

公園中探したけどあかりはいなかった。もうすっかり日も暮れて夜の海があまりにも綺麗ですっかり冷めた紅茶を二杯飲み干すと俺もその場を後にした。



一年前にあかりが事故で死んだと聞いたのはその二日後のことだ。

俺は一人、自分の部屋で枯れるまで泣いた。わんわん泣いた。

窓を開けたら優しい日差しと冷たい風が部屋に入ってきて鼻の奥がツンとした。

負けるかよ。

空に向かって囁いた。

※この小説に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
またこの小説を読んで死んでんだろうと思った‼などの上から批評は絶対にお断りいたします。

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by youngas | 2012-02-21 20:34 | XX KLUV3


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