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2010年 05月 28日

劇画やんが道

第3話「淫行教師」

「うっ、うっ、嘘だぁあぁあああ〜〜〜〜!!!!!!!!!!」
「ぎゃはははは!!!!夜蛾さん泣いてる!!!!マジウケる!!!!!」
カオルコが腹を抱えて笑っている。
号泣する夜蛾。
無野が机を叩いて叫んだ。
「おいっ!!!!それはホントなんだろうな?」
カオルコは無野の勢いにビクついて笑うのを止めた。
「てかホント…。年上の彼氏がいる…」
「年上?いくつだよ?」
「確か…今年33…」
「同い年じゃねぇかっ!!」
泣きわめいていた夜蛾が立ち上がり叫んだ。
冷静に無野が続ける。
「何してるヤツ?」
「それは……あーしの口からは…」
口ごもるカオルコ。
「誰にも言わないから!ていうかもう俺傷ついたから!」
夜蛾が目を潤ましてにじりよる。

「…先生。中学ん時の…副担…」

夜蛾はそのまま気絶し倒れた。



「無野ちゃんっ!教師はねーよな!?」

小さな居酒屋のカウンターで泥酔した夜蛾がくだを巻いている。
酒の飲めない無野は手に持ったコーラのグラスを神妙な顔つきで眺めている。
「無野ちゃんっ!どしたんだよ?」
「夜蛾氏。どんなヤツが彼氏か見たくないか?」
「へ?」


翌日。

「ねぇホントに行くの?」
カオルコと凪子が通っていた中学校の前。
「ここまで来たんだし卒業生ですとか言っとけば大丈夫っしょ?名前は百瀬って言ってたよね。ライバルは見ておかなきゃ」
「ライバルってさぁ…」
ピーーー!!!!!!!!!!
突然のホイッスルが校庭に響く。
「走れ!!もっと足あげろ!!!」

上下真っ白なジャージのホスト風の男。長身で中学校の校庭にはまるで似合わないロン毛の茶髪が風になびいている。ポケットに手を入れたまま機嫌悪そうに生徒を走らせている。
並んで金網ごしに男を眺める二人。
「無野氏。あれだったらどうしよう」
「夜蛾氏。あれだったらやだね」

その時校舎から数人の女生徒が校庭目掛けて走り出して来た。

「百瀬せんせ〜〜〜〜〜っっ!!!!!」

夜蛾は膝から崩れ落ちた。
「ビンゴ!」
無野が叫んだ。


その夜。ヘルマート。
「あざした〜〜」
無野がレジで客を見送っている。
目線をドリンクコーナーに移すと扉に頭を突っ込み無理矢理頭を冷やす夜蛾の姿。顔は完全にイッている。
「もしも〜し。夜蛾氏落ち込みすぎじゃね?まだ勝負はついてないじゃん?」
その言葉に反応して勢いよく扉を閉める夜蛾。目は完全に座っている。
「無野ちゃんさ、勝負ってのはさ、戦わなくてもついちまうときがあんだよ。相手はスラッと長身でロン毛をたなびかせて女子中学生にせんせぇ〜〜なんて言われちゃってんだよ?だいたいコンビニバイトで寝ても醒めてもオナニーとパンクとお笑いのことしか考えてない俺と淫行教師のあいつじゃ相手になんないっての!!」
「うざ」
「無野くんうざはないでしょうよ!キミさそういうとこあるよ!前から言おうと思っ…」
その時自動ドアが開いた。
「こんばんわぁ」
凪子が笑顔で店に入ってきた。
「お久しぶりです」
上下グレーのスエットで髪はほんのり濡れている。

「潮さん元気だった?」
無野が笑顔で尋ねる。
「元気でしたよ!でもちょっとバイトが忙しくて」
「バイト?潮さんバイトしてんだ?」
「始めたんですよぉ。居酒屋さんで」
「へぇ〜」
「あれ?夜蛾さんは?」
レジの脇でしかめつらでしゃがみ込みデカい図体を隠そうとしている。
「お休みですか?」
無野は斜め下を指差して満面の苦笑いの夜蛾がゆっくりと顔を出した。

つづく

by youngas | 2010-05-28 16:07


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