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カテゴリ:やがちゃんのXX KLUV2( 20 )


2009年 07月 29日

やがちゃんのXX KLUV2<永作博美-後編->

「いや!え?あの…」

俺の返事を待つことなく博美さんは強引に乗ってきて俺は加藤先輩の顔ばっかりちらついて即気持ちが悪くなった。


対面席に座って流れていく景色を見ていると博美さんが膝を小突いてくる。
「テンション下がってない?あたしがいるから?」
「いや別にそんなんじゃないすけど」
「加藤のことだ。気にしてんだ」
「そりゃそうすよ!」
「いきなり大きい声出さないでよね!離婚するし」
「は??」
「離婚すんの。加藤とは。色々あったの。あんたも色々あったかもしれないけどあたしだって色々あったんだから!」

絶句してしまった。

「すいません…」
「謝らなくってもいいけど…。ごめん。あたしも…」
何だか空気が重苦しくなったのを察してか博美さんが笑顔で言った。

「温泉!!行こ!!」


最終回:<永作博美-後編->

気がついたら熱海にいた。
温泉街を歩いてみる。
古くからあるような土産物屋が並び、観光地ならではの哀愁が漂っている。

少し行くと小さな旅館があり、何故か二人同時に立ち止まった。
「ここにしよっか」
そう言って博美さんはどんどん入っていってしまった。
「ごめんくださ~い」



「二泊なんてあっという間よね。一週間とかにすれば良かったかな」
旅館の部屋で博美さんがつぶやく。
「ていうか、また同じ話しちゃって申し訳ないんですけど…本当に大丈夫なんすか?」
「加藤?」
旅館のカーテンを開きながら博美さんが返す。
「加藤さんと離婚するんですよね?」
「嘘つかないわよ」
「嘘とは言ってないすけど」
「あなたさ、どうすんの?自分はどうなのよって話」
「……俺は…」
「まぁさ。私たちの新しい出発をここで始めようよ。ここで2日間考えよう。どうするのか」

一人で考えたかったけど不思議と邪魔くさいとは思わなかった。


博美さんが窓を開けると気持ちいい風が抜けていった。

「温泉入って、おいしいもん食べて!元気出して!」



夜。

温泉につかり、食事を終え、浴衣姿ですっかりほろ酔いの博美さんが上機嫌で聞いてくる。

「キミさ、あの妄想日記、何で書いてたの?」
「いや、別になんとなくッスよ」
「自分の経験なの?」
「半分ぐらいですね。でもほとんど妄想ですよ。何で書いてるのかなんて考えてたら書けませんよ」
「まぁ今度は現実で恋愛しなさいよね」
「……あ、はい」


2日間はあっという間に過ぎた。

本当に楽しかったけど2日もいたのに何も結論は出なかった。


宿を出る日の朝。

目が覚めると博美さんの姿はなかった。
浴衣とふとんが綺麗にたたまれていて、机の上にはお金と手紙が置いてあった。

「先に帰ります。

ひとつ謝らなくてはいけません。

私離婚なんてしません。

先月赤ちゃんが出来ました。

これが家族以外の人との最後の旅行。

すごく楽しかったです!ありがとう!

加藤には言わないから大丈夫よ(笑)

キミの新しい旅立ちにエールを送ります。いつでも遊びにいらっしゃい。

じゃあね。

博美






追伸



妄想はこれでおしまい!!」





(第1シリーズ)


第1回:北乃きい@表参道


第2回:北川景子@上野


第3回:木村カエラ@下北沢


第4回:加藤ローサ@御茶ノ水


第5回:長澤まさみ@新宿


第6回:綾瀬はるか@中野ブロードウェイ



第7回:クリスマススペシャル!!①相武紗季@お台場


第8回:クリスマススペシャル!!②上野樹里@多摩川土手


第9回:宮崎あおい@横浜


第10回:南沢奈央@東京ディズニーランド


第11回:蒼井優@大阪


第12回:堀北真希@秋葉原


第13回:YUI@福岡


第14回:新垣結衣@都内の病院


最終回:深津絵里@ニューヨーク



(第2シリーズ)


第1回:榮倉奈々@地元の田舎


第2回:麻生久美子@渋谷


第3回:真木よう子@居酒屋


第4回:ペ・ドゥナ@東京


第5回・6回:橋本絵莉子(チャットモンチー)@地方のある町


第7回:吉瀬美智子@団地


第8回:井上真央@丸の内


第9回:夏帆@公園


第10回:柴咲コウ@沖縄


第11回:南明奈@花火大会


第12回:吉高由里子@駅前


第13回:香椎由宇@博物館


第14回:滝川クリステル@テレビ局


第15回:中島美嘉@海


第16回:黒川芽以@廃病院


第17回:成海璃子@虹の見える丘


第18回:仲里依紗@商店街


第19回・最終回:永作博美@熱海の温泉宿







製作著作/YOUNGAS



やがちゃんのXX KLUV2(終)
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by youngas | 2009-07-29 01:27 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 07月 25日

やがちゃんのXX KLUV2<永作博美-前編->

前略

チョメチョメクラブ2をご覧頂いていた皆様へ

今まで疑似恋愛をつらつら書いてきたわけですが、そろそろホントの恋愛をしたいと思います。

現実って意味じゃありません。

本物の恋愛です。

純愛ってやつです。



しばらく東京を離れてみます。

突然の報告になってしまいましたことを友達や家族、関係者の方々に深くお詫びいたします。

どこに行くかは言いません。

ここではないどこかです。

そこで私は違う自分に逢える気がしています。

今まで読んでくださって本当にありがとうございました。


では、またいつか!







「ん???


……終わったの??

どこかへ?

どこ?


本物の恋愛?純愛?

そんなもんあるの?

違う自分?

そんなヤツいるの??


何だか自分が書いた文章じゃないみたいだ」

昨晩、もう更新されてしまったその内容を何回もなぞりながら、俺は朝のコーヒーを飲み一人ごちた。


気が付いたら携帯電話が光っている。

メールだ。


「ブログ見たよ!楽しかったのになぁ。東京離れんの?どこ行くんだよ?ヤンガスどうすんのよ?」

相方だった。

「急にでごめん。いつか帰るから。待っててください!本当にすいません!」


そうメールした。



駅にやってきた。
明け方の日曜日。
仕事も辞めてしまった。
これからどこへ行こう。正直何にも考えていなかった。
一人途方に暮れていると後ろから声がした。

「シノダくん?」

振り返った。

「博美さん…??」




第19回<永作博美-前編->


「こんな朝に何してるの?」
「博美さんこそ…。朝帰りですか?」
「違うわよ!!違うこともないか。友達と朝まで飲んでてさ。地元の駅着いたら何だか気持ち悪くなっちゃってベンチで休んでたら君が来るから。びっくりしたぁ」

博美さんは地元の先輩で一番怖かった加藤先輩と3年前に結婚して年に数回は会ってるけど二人で会ったことはないからやたらと緊張していた。

「で?君はどこ行くのよ?」
「いや、何というか…家出です」
「ずいぶん大人の家出だわね。どうしたのよ?」
「何か何もかも嫌になっちゃったんですよ…。うんざりしちゃって…」
「あ!加藤に言われて見てたのにあのチョメチョメ何とかってやつ!妄想のやつ!」
「あ。マジですか。恥ずかしいす…」
「まぁね、あれ見てたらこいつ疲れてるんだなぁとは思ってたのよね。あははは」
博美さんの笑顔がなんか痛くて俺は目をそらした。
「んじゃ失礼します」
電車が来て扉が開く。乗り込むと博美さんが笑顔でつぶやいた。

「あたしも行っていい?」

(つづく)

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by youngas | 2009-07-25 21:51 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 07月 21日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASの平山夢明が好きすぎて彼の本だらけになってきたほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第18回<仲里依紗>

地元の商店街ってどうしてこう切ないんだろう。

存在するものみんながゆるい空気を放ってて看板なんか錆びちゃってるし、赤い字だけ色抜けしちゃってるし、今時「TRY ME」の安いインストが壊れかけのスピーカーから流れてるし、誰が買うんだっていうような半世紀前の模型飛行機とゴムボールが埃かぶって軒先につるされたおもちゃ屋とか、電器屋なのに半分はCD屋にしたものの入れ替えないからJ-POPとか古いのばっかりで、でも何とか背伸びして「パヒューム入りました」って妙に達筆な筆字で書いてあったりして、とにかくなんだかどんよりしてくる。


「すいません!」
おっさんが俺にビニ本を突き出している。
俺は無言で受け取って紙袋にそれを入れて1200円を受け取る。
おっさんちょっと晴れ晴れした顔つきで店を出て行く。

うちは本屋。生まれた時からこの本の匂いの中で生きてきたから落ち着くんだけど、売上低下に悩んだ親父が3年前に奥の一角をエロ本コーナーにした時から気持ちの悪いおっさんが入り浸るようになりそこそこ好きだった店番も憂鬱になった。
もうすぐ18の健全な男子だから興味もあるけど、エロ本を買うのに三時間も考えてるおっさんの姿は十分気を滅入らせてくれた。

「おす!おばちゃんいる?」
幼なじみの里依紗だ。じいちゃんがモナリザが好きでつけたらしい。
「いない。スーパー」
「あ。そっか今日日曜日か。パート行ってんだ」
「何だよ?」
「いや、おばちゃんに借りてた冬ソナのDVD返しにきたの。あんた店番?」
「見りゃわかんだろ」
「あぁかわいくないね、あんたは」
そう言って里依紗はサンダルを脱いでうちの中に入っていく。
「お邪魔しま~す」
「何だよ、お前!勝手に入んな!」
「あたしもおばちゃんに「NANA」貸してんの!」
NANAに冬ソナ。絶妙に遅れてる。
「ていうか、お前バイトは?」
「辞めちゃった!」
「はぁ??お前また辞めたのかよ!」
「うっさいな!今は金より大切なもの探してんの!」
里依紗は何やらしても続かない天性の飽き性だ。
呆れてものも言えない。
勝手に冷蔵庫からアイスを取り出し柱にもたれて漫画を読み出す里依紗。うちのアホ猫パセリが里依紗にすり寄っている。
「パーちゃぁあん」
漫画を置いて全力でかまってやり出す里依紗。パセリがお腹を出してよじれながら気持ち良くなっている。
日曜日の午後。
俺はこのまま死んでいくのだろうか。この半分エロ本屋で。
「りいちゃんいらっしゃい!」
親父が打ちっぱなしから帰ってきた。
「おい!お母さんは?」
イラッとして振り返って答えようとしたらすかさず里依紗が「あ、スーパーみたいですよ」と答える。
「あぁ日曜日か今日」
親父がアホな声で答える。
ぬるい日常。
なんかムカムカして靴を履いて外へ出た。
「おい!店番!」
親父の声を無視して進んでいく。

いつもの川沿いにやってきた。日曜日だから人も多い。
土手に寝転がる。

「おい!」
目を開けると里依紗が覗きこんでいる。親父のマネをしたらしい。
「ついてくんなよ」
「何荒れてんの?欲求不満?」
「うっせー!」
「怖いなぁ。ねぇ、きょうこちゃんどうなったの?」
「何だよ急に」
きょうことは昔の彼女でとっくに終わった相手だ。
「あんた彼女でも作りなよ。イライラし過ぎだから、ここんとこ」

俺は里依紗が好きだった。昔っからだ。
でもこいつは気付かないし、俺もそんな素振りを見せないできた。

「お前のほうこそ、彼氏作れよ!」
「あたしのことはいいの!あたしイライラしてないし」
「イライラしてるから付き合うんじゃねんだよ!」
「ほら!また!イライラしてるし!じゃあ仕方ない付き合ってあげる」
耳を疑った。

「は?」
「あんたがイライラおさまるまでね。期間限定で」
「何言ってんだよ、お………」
突然キスで唇を塞がれた俺は里依紗をそっと抱き寄せた。


夕焼けの土手で付き合うことになった俺たちはそれからすぐいわゆるできちゃった結婚をすることになった。まだ19歳同士だってのに。

「今日めめのお風呂だからね。即帰ってきなさいよ!」
芽芽とはうちの娘だ。
「わかってるよ」
半分エロ本屋じゃ子供は養えない。俺は早速工事現場で働くことになった。

「いってらっしゃーい!!」

芽芽の手をむりやりに振らせて里依紗が玄関で見送っている。

青すぎる空が変わらない商店街の間から覗いていた。


※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んで確かに異性の幼なじみって何かいいよなぁなどのニヤケ顔での独白もお断りいたします。

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by youngas | 2009-07-21 23:07 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 07月 14日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASの最近のお気に入りはneco眠るとガガキライズなほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第17回<成海璃子>

「きつねうどんはけつねうどん。たぬきうどんはたぬけうどんなわけなのだな」
浩一はそうつぶやくと立ち食いそば屋の前でにっこりと微笑んだ。

「店長!また来てますよあいつ!」
立ち食いそば屋のガングロ店員みーこが大きな声を出すと舌打ちをして店長の佐藤が扉を開けた。
「おい!」
浩一はニヤニヤを止める様子もなく聞く耳もないようだ。
「お前何なんだよ?昨日は朝っぱらから7時間もそうしてやがって。警察に電話すんぞ!」
佐藤が凄む顔が浩一にはツボだったのでついに吹き出してしまった。
「ぷっ!うわははははっっ!!!!あんたの顔毛じらみみたいやなぁ~」
佐藤の頭の小さい回路が夏の暑さも手伝い簡単にショートして浩一の顔面に佐藤の右拳が突き刺さり浩一はそれはきれいな弧を描いて吹っ飛び尻から青いポリバケツに収まってしまった。
それを見ていたバイトのみーこは奇声をあげながら外へ飛び出てきてものすごい形相で佐藤の鳩尾を蹴飛ばした。
佐藤はそれは見事な弧を描いて宙に浮き近所のノラ犬の体を直撃して「きゅいんっ」と音がしてそれは佐藤の声なのか犬の声なのか判別出来なかった。
「うちの彼氏に何するんじゃわれボケ!」
みーこはそう叫んで浩一の尻をポリバケツから抜き取ってやり体を抱き起こしてやった。
次の瞬間浩一の左膝がみーこの右脇腹にもろに入りみーこは鬼の様なそれでいて切なげな表情で静かに倒れた。浩一もそれで力尽きうつ伏せに倒れこんだ。


14時丁度。

立ち食いそば屋前に倒れる男女3人と犬の姿を目撃した老婆が驚いて声をあげた。
「どないしたんや」
老婆の問いかけに佐藤がむっくりと起き上がってこう言った。
「気にせんといてください。日光浴ですわ」





「それで何でこの人がここで日光浴ですわって言うの?何が面白いの?」
「璃子さ。これが文学というんだよ」

璃子は「ふ~ん」とつまらなそうに俺の書いた小説を床に置くと

「見て!虹!」

と東の空を指差した。

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んで今回実験作に見せかけてるけど作者が飽きてきただけだろ!などの当たってる苦情もお断りいたします。

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by youngas | 2009-07-14 22:51 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 07月 08日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASの最近今治タオルにハマってるほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第16回<黒川芽以>

「マジで見たんだって!!」
「お前なぁ。今時幽霊だお化けだっての流行らないぞ」
地元のゲーセン。
友達の金子が高校の裏山の廃病院で少女の霊を見たと言うのだ。
確かに昔から目撃談がある場所ではあったけど弟とカブトムシを探しに行き、ぼんやりと宙に浮きゆらゆらと揺れている少女の霊を見たって言われてもとてもじゃないけど信じられなかった。
「じゃあ明日行ってみようぜ!」

金子の眼力に負けて翌日の夜8時、学校の前にやってきた。

「それで何であたし達まで行かなきゃいけないのよ!」
女友達の芽以とユキエがふくれている。
「肝試しっていうのはさぁ男だけで行くのはナシだよなぁって。な?金子!」
「そうそう!とにかくさデジカメ持ってきたしマジで撮れたら学祭で流そうよ!」
「バカだよね。男って。ま、いいわ。ユキエ、さっさと行こ」
男勝りの芽以が歩き出す。
「やっぱり怖いよ~~私帰りたい~~」
ユキエがぐずり出す。
それでもズカズカと先に行く芽以に寄り添って裏山にやって来た俺たちはその廃病院の夜の不気味さに息を飲んだ。

「どこで見たんだよ?」
「あの二階の窓」
確かに窓が開いている。
「あっちからも入れるよね確か。二手に分かれよっか」
俺は芽以に付いていく。
金子とユキエは裏口へ向かった。
俺は怖さよりも芽以と二人になれたことが嬉しくてこの胸のドキドキはどっちなんだろうと思いながら歩いた。

もう十数年も放置された廃病院。ロビーはガラスの破片や剥がれた壁や何だかわからない廃材が散乱し、不良たちの意味不明な落書きも酷い。

「ここから上れそうだね」
芽以はさっさと階段へ向かっていく。
「お前さ、女らしく怖がったりしないのかよ?」
「そんなこと言うならユキエと行けば良かったでしょ?あんたが勝手についてきたくせに!」
「いや……ごめん」
芽以といるとペースは完全に持っていかれてしまう。

「キャ~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!」

突然の叫び声。

「ユキエ!?」

二階に懐中電灯を照らし走っていく芽以。
「待てよう!」
追いかけていく俺。へたり込んでいるユキエと放心状態の金子がいた。
「お前らどうしたんだよ?!」
「あ…あわわわ」
金子は目を見開き完全にイッてしまっていた。
ユキエは泣きわめいていたが体を支えながら何とか山を下り明るいところでやっと気がついた。ユキエの両腕に強く握られた子供ぐらいの指の後がしっかりとついてしまっていた。


あれから一週間。二人は何も語らず金子は夏休みを理由に田舎へと行ってしまい結局あの夜あの二人に何があったのかわからないままでいた。
すると芽以から電話があった。
「もう一度行ってみない?」
「ちょ、ちょっとお前…あそこはもうやべぇよ…」
「確かめたいことがあるの」
芽以のペースに巻き込まれるように俺はまたあの廃病院に行くハメになった。
「確かめたいことって何だよ」
「いいから。来てよ」
芽以に言われるがままにあの二階の廊下の窓の前までやって来た。
またしても俺はドキドキしていた。

「ねぇ!」
突然大きい声を出す芽以。
「あんたさ、あたしのことどう思ってんの?」
「何だよ…いきなり」
「確かめたいことがあるって言ったでしょ?」
「……それって」
「あたし好きかもしれない!キミのこと」
「い…いや、どうしたんだよ…」
「ここでしようよ?」
「な!!何言い出すんだよ!!」
「あたし着替えてくるから!」
病室に入っていく芽以。
動揺していると携帯が鳴った。
「も…もしもし」
「ユキエだけど」
「あ、あ…ユキエか…どしたんだよ」
「声震えてるよ」
「な、な…何でもないよ。どしたの?」
「実はね…さっき芽以が部屋で自殺したっていうの…」
「う!!嘘だ!!!芽以ならそこに…」
病室の扉がそっと開く。
血だらけの芽以が出てきてつぶやいた。
「あんたも一緒にきて…」
芽以が手を差し出した瞬間「うぎゃぁあぁあ!!!!!!!!!!!」と叫んで俺は一目散に走り出した。裏山を駆け降りてくるとなぜか爆笑に包まれていた。

金子とユキエだ。

「お前の驚いた顔ったら!わはははは」
「泣きそうなんだもん!!うける!!キャハハハハ」

後ろから芽以の笑い声もする。
「超驚いてたね!やりすぎちゃったね!ごめんね~!でもおかしい!わはははは」
俺は怒りを通り越してほっと胸を撫で下ろしていた。

「まったく!手がこみすぎなんだよ!芽以だけでも怖いのに血だらけメイクの女の子をあんなに仕込んじゃってさぁ。小学生だろ?あの子達。大丈夫なのか?」

気がつくと笑い声はとっくに止んでいた。

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んで黒川芽以って誰よ?って方は「新耳袋」からやり直してください。

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by youngas | 2009-07-08 00:36 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 07月 01日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASのかなりの秘宝館マニアなほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第15回<中島美嘉>

俺は美嘉に恋をしていた。

授業中も彼女が退屈そうに窓の外を眺めているのを知らぬ間にじっと見ていたり時々彼女が校門から出ていくのを気がつくと黙って見送ったりしていた。

美嘉は無口で友達もおらずほとんど一人で過ごしていた。
だけど中学の時に相当悪かったなんて噂が飛び交うもんでこの高校で彼女をいじめるヤツはいなかった。

ある時、廊下でふいに声をかけられた。
「あの…」
振り向くと美嘉が立っていた。
廊下の窓からの風が美嘉の黒髪を揺らしている。
「今日って暇ですか?」
「今日?」
「付き合ってもらえないですか?放課後」

急な誘いに戸惑いながらも承諾して学校近くの公園で待ち合わせをした。

これがただのクラスメイトならのんきにドキドキしながら向かっただろう。
しかし俺はただのクラスメイトではなかった。

「お待たせ」
ベンチに腰掛けていた美嘉に声をかけた。
「ごめんね。付き合わせちゃって。先生」

俺は美嘉の担任だった。

「どこ行くんだ?」
「どこでもいいよ」
「どこでもいいって……お前、付き合って欲しいとこがあったんじゃないのか?」
「無きゃダメだった?」
「そんなことないけどさ…」
「先生、車あるでしょ?」
「家にあるけど…」
「車乗せてよ」
「何だよいきなり」
「いいじゃん」

30分後。美嘉は俺の車の助手席に座っていた。

「どうしたいんだよ?」
「ドライブしようよ」
「お前なぁ…」

美嘉に言われるがままに俺は車を走らせていた。

無言の時間が続く。街を少し離れた。
「中島、お前何か悩みあんのか?」
窓の外をじっと眺めたまま美嘉が答えた。
「ない」
「お前クラスで誰とも仲良くしてないよな?何で?」
一瞬の沈黙の後、美嘉がつぶやいた。
「先生もそういうこと聞く人なんだ」
「や、なんていうか、心配なんだよ」
「担任として?」
「当ったり前だろ!」
動揺して声を荒げてしまった。
美嘉が笑っている。
「ムキになっちゃった。わはは」

一時間後。すっかり暗くなった街並み。相当来てしまった。

「先生海行こう」
「というかお前もう7時だぞ。親御さん心配するからもう帰ろう」
「心配なんかしてない」
「そんなことないだろ」
「してないから…」
「そうは言ってもだな…」
「海行って!!」
美嘉が怒鳴った。
「…な、なんだよ。どうしたんだよ」
「ごめん…先生」
「お前何かあったのか?」
「……」
「言いたくなかったら言わなくていいよ。明日は休みだ。海行こう」
俺は何かが吹っ切れた気になって大きくハンドルを切った。



真夜中の海。冬も近いから誰もいない。美嘉が寝息をたてている。

深夜の海辺で教師と女生徒が半裸で車の中にいるなんてヒドいなと一人笑った。
さすがに寒くなって上着を羽織る。美嘉にスーツをかけてやる。

波の音。

深夜3時。いつのまにか眠っていた。体を起こすと美嘉がいない。
辺りを見渡す。
海に足を浸していた。
車を開けると急に冷たい風が包みこむ。
「おい!風邪引くぞ!」
「うん」
美嘉は嬉しそうに笑って頷いた。
「寒すぎておかしくなったんじゃねぇか?」
「そうかもね。…ねぇ先生。いい想いで出来たよ」

直球過ぎでなんだか恥ずかしくタバコに火を付けた。

月明かりに照らされた美嘉はこの世のものとは思えない美しさだった。

冬近い海と空が二人だけのプラネタリウムみたいだった。

それが美嘉との最後の想いでになった。




職員トイレ。
気が抜けたまま個室にしゃがんでいた。教師二人が話しながら入ってくる。

「中島の自殺って何だったんすかね?」
「あいつ援交やってたらしいよ」
「家も荒れてましたもんね」
「一発やっときゃ良かった!」
「バチ当たりますよ!ハハハハハ」

個室の鍵を開け外へ出て勢い任せに二人をぶん殴ると俺はそのまま校庭を横切り家に帰った。そして車に乗るとあの海へと向かった。

昼間の海は明るかった。若いヤツらがたむろして騒いでいた。揺れる波間がキラキラしている。そこに美嘉がいるような気がして俺はタバコに火を付けて少し笑ってみせた。

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んでこうなってくるともう日本のMJ(みうらじゅん)に頑張ってもらうしかないなどの苦情もお断りいたします。

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by youngas | 2009-07-01 08:08 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 06月 23日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASの好きな水木キャラは歯痛殿下(はいたでんか)なほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第14回<滝川クリステル>

PM5:00。
お台場某テレビ局前。
彼女を乗せた車が入っていく。
斜向かいの喫茶店よりその様子を確認。仲間にメールにて連絡。
「17時クリステル局IN」

PM7:00。
観覧客を装いバラエティ番組のスタジオに潜入。若手がはしゃぎ、時間が押す。二本撮りらしく合間に休憩がねじ込まれる。瞬時にトイレINを申し出る。

PM7:05。
警備員の服装に変装。本物の無線機も装着。内部の様子も窺い知れる。
そのまま警備開始。まもなく報道フロア。

PM7:15。
局アナ室前通過。
某アイドルアナTに遭遇。すっぴん、メガネ、寝起き顔。警備員らしく会釈。「お疲れ様です」の一言あり。
仲間にメール。
「某Tアナ好感度UP」

PM7:20。
報道フロア到着。トイレINにて計画を復習。


PM7:30。
警備員からスタッフ風に変装チェンジ。報道フロアに潜入成功。
数人と目が合うが「おざーす」のテンションで乗り切る。クリステル不在。コピー機前の若い男に接近。恐らくAD。
「おつかれ~。滝川さんは?」
誰だよって顔。
「制作会社のスタッフでしょうよ!」
ネームタグを発見。
「忘れちゃったの?ムラタちゃん!」
「田村ですけど」
不覚。
「業界読みにしたんだよ~」
ごまかしOK。
「で、何ですか?」
明らかに怪しんでいる田村。
「滝川ちゃんは?今どこか知ってる?」
「滝川さんですか?ホントにあなた制作会社の方ですか?」
これはマズい展開だ。ひとまず切り抜けよう。
「あ、うん、とりあえずいいや」
田村の視線を背中に感じながら報道フロア再巡回開始。

やはりクリステル不在。
一旦退室。

PM7:50。
さらに巡回。
叶姉妹の妹のほうとすれ違う。
いい匂いだ。姉のほうは見当たらず。

PM8:00。
楽屋方面。何やら騒がしい。
マズい!やべっち寿司の収録中だ!
岡村の軽快なダンスが目に入る。横にいるのは誰だ?
クリス松村!クリステルは不在なのにクリス松村が!悔しい!スタッフを装ってロケの横を通過。

PM8:10。
食堂。
何となく見回す。
!!!!!!!!!!!!!!発見!!!!!瞬時に仲間にメール。
「20時10分クリステル食堂にて確認」
しかし誰かと一緒に食事している。髪の短い女。
!!!!!!!!!!!!安藤優子!!!!!!
すかさず仲間にメール。
「クリステル真横にAY」
しかしここで怯むわけには行かない。
食いたくもないカレーを専用トレーにて運搬。目の前のテーブルを確保。
さすが生クリステルは想像を絶していた。しばらく様子を見る。

PM8:30。
だいぶ深刻に話し込むクリステルと安藤。仲間からメール。「作戦遂行せよ」
ついにその時がきたようだ。

PM8:40。
意を決し立ち上がる。
クリステルまであと1m。
「あの、俺…」
気がつくクリステル。

PM8:41。
「あいつです!!」
警備員を引き連れた田村。走ってくる警備員と田村。
全てがスローモーションに見える。

首をかしげるクリステル。眉間にしわの安藤。
「好きなんです!!」

ミッションコンプリート。

取り押さえられ抱えられて運ばれていく俺。クリステルが遠ざかっていく。田村がニヤリと笑っている。さらに遠ざかるクリステル。唖然としている。

さよなら。そして告白という名の作戦は見事に遂行されたのです!!!


それから3日後―。

PM6:00。
シャバの空気は違う。
テレビ東京前、仲間にメール。
「18時大橋未歩局IN」

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んで今日の内容はさすがにキモ過ぎ!死んで欲しいんですけどwなどの苦情もお断りいたします。

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by youngas | 2009-06-23 22:50 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 06月 16日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASの好きな藤子キャラは「魔太郎がくる!!」の阿部切人なほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第13回<香椎由宇>

「平和…についてですか…?」
「平和です。平和って聞いて何をイメージします?」
「ワールドカップの時の渋谷とか。あ、でも平和ボケかもしれないです、あれは」
「いいんですよ。あれは平和だからこそです。貧困が深刻な国ではあんな風に騒げませんから」
香椎さんはそう言って黒縁メガネを直し複雑な顔をした。

上京したばかりで大学に入っても友達が出来なかった僕に最初に声をかけてくれたのは香椎さんだった。
その後香椎さんがサークルに誘ってくれて二つ返事で入ったものの、華やかで若気の至りって言葉が似合う飲み会なんてものは一切なし。日陰の三号館と呼ばれる廃墟にも似た離れの部室に集まってお茶やオレンジジュースを飲みながら世界の現状や政治の話を組み交わすだけ。
特殊な空気は顔合わせの時から感じていた。
メンバーは自分を含めたったの六人。
皆真面目そうなメガネ男子で香椎さんは唯一の女子。
その香椎さんがホワイトボードに「平和って何?」と書いた瞬間に激しく後悔した。

それでも綺麗な香椎さんに会いたくて指定の時間に部室に通ってはみたがさすがに7度目の「有能な政治家とは?」の議題中、香椎さんが一人の意見に大きく頷いた後、他の人に巧みに話を繋げている様子が一瞬田原総一朗に見えてしまい限界を感じて辞めることにした。
香椎さんは残念がりながら「若さとは自由を謳歌する時間を意味するもの。あなたの自由を何者も奪えないものね」と流暢に言って見送ってくれた。

大学を卒業して就職浪人になった僕はもう香椎さんに会うこともないよなと思っていた。
地元のビデオ屋でバイト中にDVDを落とした女性がいて大丈夫ですかと駆け寄ると香椎さんでそこから色々あってどういうワケか香椎さんと僕は付き合っていた。
香椎さんは外資系の会社に就職したもののやりがいを感じずすぐに辞めてアルバイトと週3でボランティア団体の慈善活動に出かけていた。
僕も一度「面白いから」と駆り出されたが朝の5時から海沿いに落ちた空き缶を夕方まで拾う行為を面白いとはどうしても思えず二度と参加することもなかった。
デートももっぱら博物館や美術館などが多く学芸員より弁の立つ香椎さんの説明に圧倒されてるうちに日が暮れて9時には解散。キスはもちろん手を握ることもなく半年が過ぎた。

ある日の夜。駅までの道、香椎さんが深刻そうにつぶやいた。
「私といて楽しい?」
「楽しいよ」
「私…昔から真面目で学級委員長とかばっかりやってて体育以外は常にトップの成績でそれだけを頼りに生きてきてしまって…こんな私といても君を苦しめるだけよね。別れましょう」
「そんなことないよ…」
そう言ってはみたけどそれ以上言葉が出てこなかった。
香椎さんを見送る駅に着いた。
「今までごめんね」
香椎さんはそっとつぶやいて僕にキスをした。それが最初で最後のキスだった。


2年経ちようやく就職した僕の元にエアメールが届いていた。
「元気ですか?アフリカは今日も快晴です」
同封された写真の中で現地の子ども達に囲まれた香椎さんの笑顔は美しかった。
相変わらず日本でくすぶる自分へのビンタの様なその笑顔を見て小さくため息をついた。

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んでおい!みんな!エドはるみどこ行った?などの苦情もお断りいたします。

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by youngas | 2009-06-16 22:40 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 06月 09日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASの昨日、友達の結婚式の招待状が来たけど場所が熊本だったほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第12回<吉高由里子>

「もっとましな言い訳できないのかよ!」
男女が駅前で喧嘩している。いちいち通る人が振り返って見てるのは怒鳴ってるのが女性の方だからだ。
「寝坊した…ってさ。あんたには笑いのセンスっていうもんが1ミクロンもないわけ?」
「そう言って俺がジョージクルーニーに足踏まれてて動けなかったって言ったら殴るくせに」
「ジョージクルーニーじゃ殴るわね」
「誰ならいいんだよ」
「六平直政」
「誰だよ」
「知らないの?あ~もうダメだ限界じゃあね」
こうして由里子が足早に去っていくのを見送るのは何回目だろう?沸点がわからない、ツボがわからない、だいたい何考えてるかわからないんだから手に負えない。それなのに待ち合わせては毎週の様に会ってデートしてるんだからご苦労様だ俺。
だいたい今日だって俺は待ち合わせに遅れたわけじゃない。
「待ち合わせに遅れたら何て言い訳するの?」と聞かれて「寝坊したとか」と答えただけなのだ。
でも、ほら、こんなこと考えてたら由里子が戻ってきた。

「お腹すいた」
「そうだな」
「あんたん家行こう。ご飯作ってあげる」
「うん」


振り回される。と使う人がいるけど簡単に使って欲しくない。振り回される。とはこのことだ。辞典の例に是非採用して頂きたい。


ある日の夕方。由里子からの着信。
「明日あんた暇?」
「暇じゃない。バイトだ」
「バイト。ふ~ん」
「前に言ったじゃん」
「何時に終わるの?その後ならいいでしょ?」
「明日は深夜番。それも前話したろ」
「あ、そう。じゃあね」
電話が切れた。
何だよあいつ。そりゃ俺だってムカつく時もある。


深夜バイトが終わり明け方に部屋に着くと部屋のドアに紙袋がぶら下がっていた。
結構大きい。
部屋に入り開けるとホールケーキが入っていた。
取り出した時に紙きれが落ちた。拾い上げると文字が書いてある。

〈自分の誕生日も忘れるほど働いてんじゃねーよ!ゆりこ〉

あ。俺誕生日か今日。

朝日が差し込む部屋で俺はちょっと幸せな気分になった。

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んでドラマ「ぼくの妹」のチープな台詞としょうもない展開に大滝秀治だけリアル過ぎたなどの苦情もお断りいたします。

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by youngas | 2009-06-09 21:56 | やがちゃんのXX KLUV2
2009年 06月 02日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASのこないだやる気まんまんのオット君人形を女子だらけの飲み会前に衝動買いしちゃってさすがにロッカーに預けて行ったほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第11回<南明奈>

遠くで花火が上がっている。
土手の脇にある小さなトンネルで仰向けに寝転がったまま唾を吐くと血が混じっていた。
腫れた顔のまま右足を引きずり夜の街を歩いていく。浴衣姿の女の子や、粋がる中学生たち、色んな人たちの間を傷だらけで歩いていく。
「キャッ」
女の子が俺の顔を見て声をあげる。
誰もが振り返っている。そりゃそうだ。家に着き倒れこんだ後覗き込んだ鏡を見てぞっとした。痣で顔の半分が紫がかっているし鼻血は両鼻から垂れている。
なぜこんなことになったのか?
夕方前に記憶を巻き戻してみよう。


「4時に神鳴様の境内の前で」
明奈の一方的な電話で目を覚ました。今日はバイトを休んで明奈と地元の花火大会に行く約束をしていた。
正直全く気乗りしない。窓を開けて空を見上げる。嫌がらせ級に晴れている。
「中止…は無いな…」
仕方なく支度をして地元で神鳴様と呼ばれる神社へと向かった。

4時半―。明奈は現れない。携帯もつながらない。メールも返しがない。
そろそろ嫌気がさして石段から立ち上がったところで
「ごめ~~ん!!!」
と高い声が響いた。さすがに遅いと一喝しようと振り向いて固まった。初めて見る明奈の浴衣姿。
ヤバい。可愛すぎる。
「ごめんね、マジで。これ着るのに時間かかっちゃってさ」
俺はすぐに許して土手へと歩き出した。露天や警備の人達、土手へと向かうたくさんの人々で賑わいが増していく。
公園から聞こえるヤンキーたちの高笑いにドキッとしながら嬉しそうな明奈に俺はもっとドキドキしていた。

「わたあめ!」
明奈に言われるがままに購入。
幸せそうだ。俺も幸せだ。
土手まで来ると人ゴミはピークで上るのもやっとだ。
「あっち!あっちのがたぶん空いてるよ!」
明奈が根拠なく指を指す。俺は手を引かれるままにそこへ向かう。
なんとなく二人分の場所を確保してそこに腰掛ける。
ハンカチをポケットに入れておいて良かった。躊躇なく明奈はそこへ座り、当然地べたへ腰掛ける俺。
「今何時?」
「5時10分」
「まだ超あるじゃん!」
自分でこの時間に設定したくせにという言葉は当然飲み込んで苦笑う。
「ねぇ何か面白い話してよ」
明奈のムチャぶりに慌てながらも俺は客観的に見たら頑張ったほうなんじゃないかと思う。

「ここだべ!」
後ろから声がした。さっき公園でたむろしていたヤンキー達が真後ろのブルーシートにやってきた。明奈が睨む。やめてくれ!と魂で叫ぶ。そして悪夢はすぐに訪れた。

「何だおめぇ」
「うるさい!」
明奈の気の強さは一体何なんだ。
「あ~ン?何だてめぇ!」
相手は3人。しかし明奈は動じていない。バカなのか?
「うるさいからうるさいっつったんだよ!」
「てめぇこのアマ!!」
「待ってください!」
間に飛び込む俺。
「か、か、彼女は悪い娘じゃ…ないんす…」
場が凍りついた。
明奈は白い目をして俺を睨んでいた。




「大丈夫っ?!」
明奈が部屋に飛び込んで来る。血だらけで腫れ上がりながらも苦笑いをする俺。ヒリヒリする。
「ねぇ!!大丈夫なの?」



あの直後ヤンキー達に奇声を上げながら飛びかかっていく明奈の後ろ姿を最後に俺も明奈も記憶が飛んでいた。


「痛てっ!」
「しみるよね?でもお薬だからガマンね!」
消毒液と絆創膏を手に手当てをしてくれている明奈がニコッと笑いかけ俺もひきつりながら笑い返した。



翌朝。テレビでニュースが流れている。
「神鳴町の花火大会で陰惨な事件です。ブルーシートに巻かれた若者3人の遺体が川沿いのプレハブで見つかりました。いずれも暴行の加えられた痕があり、何らかの事件に巻き込まれたと見て地元警察が捜査を―」
「出来たよ~!アッキーナ特製オムレツ!!」
明奈が笑顔でオムレツを運んでくる。
俺はひきつり笑いのまま失禁していた。
そして頭痛の間で明奈が
「てめぇビビってんじゃねぇよ!」
と俺をトンネルまで引きずっていくイメージがフラッシュバックして身震いした。まさかそんな…。


明奈が顔を右に倒して言った。
「残さず食べてネッ」

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んで「フジロックは音楽を聴くというより感じに行くところだよね」って言いながら一回も行ったことないヤツなどの苦情もお断りいたします。

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by youngas | 2009-06-02 23:42 | やがちゃんのXX KLUV2