2013年 01月 08日

XX KLUV3

ゲイ春!ゲイが春売ってるみたいになるね、カタカナにすると!

ご無沙汰しておりました!「終わっちゃったの?」とか「早く再開して!」の声がまったくなかったチョメクラ3が気まぐれかつオレンジロードに復活!

新年一発目はこの娘しかいない!

ではご覧ください!

XX KLUV(チョメチョメクラブ)3とはyoungasのゾンビ映画はスカッとするとか怖いとかそんなんじゃなくて早く本当にこうならねーかなぁと完全に現実逃避で見てるほうshinodaが憧れのあの娘と全力で妄想恋愛をしてみるキモカワユスなコーナーです。

第17回〈橋本愛〉

いい天気だ。いや、むしろ天気だけがいい。

青空がどこまでも広がっている。雲がゆっくりと流されていく。

高校の屋上。今日も授業をサボってここに寝転がっている。

でもどうだ。俺なんかいなくても授業はどんどん進んでいくし、誰一人探してくれる人もいない。家に帰れば親父が死んでから母親はアル中で絡んでくるばっかりだし、兄貴は引きこもって夜毎ブツブツとつぶやきながら壁をガンガン叩いてくるし、家の中は荒れ放題だ。誰も俺なんか必要としてない。だからこうやって高校側からやめてくれと言われるまで俺はこうして一人の時間を生きていく。いつか高校をやめたら、俺はどっかどうでもいい所に働きに出るのだ。そして慎ましく何にも期待せずに、誰にも知られずに生きて行くのだ。クズみたいな人生だ。でも神様は俺を殺さない。どこまでも不公平だ、神様ってヤツは。

ガチャ。

屋上の扉が開く音。

さすがに飛び起きて端っこに隠れる。

誰だ?

あの娘。あ。橋本さんだ。

クラスが一年の時一緒だったな。俺と同じで橋本さんもいつも一人だった。いつも窓際で本を読んでた。美人過ぎて、絵になり過ぎた橋本さんは一部の女子に妬まれて、いじめられているらしいと噂で聞いたことがあった。

一度右手を包帯でぐるぐる巻きにして登校してきたことがあった。先生に聞かれて「帰り道に転んでしまいました」と答えたら、「気をつけなさいね」と先生は笑ったけど、俺はその後すぐに目を伏せた橋本さんの表情を見て絶対誰かにやられたんだと悟ったんだ。

でもそれも聞けないまま、クラス替えで橋本さんとは会わなくなってしまった。たまに橋本さんが気になって彼女のクラスの前をわざと通り過ぎたりした時、彼女は一年の時と同じで窓際で本を読んでた。

その橋本さんが屋上に何の用だろう?

授業の時間真っ最中だから抜け出してきたのかな?

屋上の金網の前に腰を下ろしてしばらく遠くを眺めていたけど、橋本さんはその後カバンから本を取り出して読み出した。

読書しにきたのか。

こんなチャンスはもうないかもしれない。どうせやめるけど、この高校にいたっていう唯一の思い出にしようと思って、俺は橋本さんに話しかけてみることにした。

「橋本さん」
「え!あ、はい」

急に話しかけたから橋本さんはすごく戸惑ってるみたいだった。

「あ、俺、覚えてますか?」
「あ、うん。同じクラスだったよね?一年の時」
「あーよかった」
「何で?」
「覚えてないんじゃないかなと思ってたから」
「そんなことないよ。ふふ」
橋本さんが笑った。初めて見た笑顔だった。
「いつも本読んでるよね?」
「あ、うん」
「ドストエフスキーとか芥川とか?」
「え?」
「いや、橋本さんいかにも文学少女だから、そういうの読んでそうだなって」
「ごめん。ドスト何?芥川って自殺した人だっけ?」
「知らないの?ていうか、じゃあ、何読んでるの?宮部みゆきとか東野圭吾とか?」
「あーごめんわかんない!今読んでるのはこれ!」

ブックカバーを外して出てきたのはとりいかずよしの「トイレット博士」だった。

「漫画!漫画だったの!?」
「漫画だよ!漫画しか読まないよ、私。ふふふ」

驚きだ。その後、橋本さんは好きな漫画の話をマシンガンのように話してくれた。一番好きなのは「天才バカボン」で一年の時窓際で読んでいたのは「がきデカ」と「つるピカハゲ丸」だったらしい。

「橋本さんてこんなに面白くってこんなにしゃべる人だったんだね」
「まぁね。クラスではちょっとすましてるけどね。ふふ」
「あ、でもいじめられてたでしょ?」
勢いでそう聞いたら橋本さんが黙った。やべー、余計なことを、と思った次の瞬間、橋本さんが笑い出した。

「あははは。いじめ?私が?ふふ。何で?そう見えた?」
「友達いなかったし、そうかなぁって」
「まさか!私高校の娘たち何か合わないんだ。だから作らないって決めたの。地元に帰れば友達いるから」
「あ、でも、包帯!そう!包帯!巻いて来てたよね?」
「ヤダ!よく覚えてるね〜。あれ本当はスケボーやってたんだあの時。スパイクジョーンズカッコいいとか思っちゃって!でもすぐやめたけどね。続かないんだ、私。ダメだよね〜」

想像と違った。想像してたのはこんな橋本さんじゃなかった。何だか少しガッカリもあって、その後少し話して俺たちは別れた。

俺は高校をやめないで結局卒業し、アル中の母親と引きこもりの兄貴の面倒を見ながら、工事現場で働いていた。ある日、行った現場の近くの弁当屋さんで橋本さんと再会した。

「あ!久しぶりじゃん!」
「橋本さん、バイト?」
「うん、まぁね。一応女子大生だけどね。あ、今日何時に終わるの?」
「え?一応、五時の予定だけど」
「え!私も五時までなんだ!飲みに行こうよ!」
「え?いや、あの…」
「あ、じゃあ、終わったらここ来て!」
「え、でも、あの…」
「いらっしゃいませー!しょうが焼弁当ですね!」

断る理由もないかと思って、急いで現場を終わらせて、橋本さんと駅前の小さな焼き鳥屋に入った。

「カンパーイ!」
「あ、どうも」
「暗いなぁ!どしたの?悩んでるな!青年!私で良ければ話してよ!」
「実は…いや、いいよ!暗くなるし」
「気にしなくていいから!私が受け止めるから!」
「いや、無理だよ。絶対」
「何で?」
「橋本さんにはキツいと思うから、こんな話」
「決めつけないでよ!わかった!私の話からしよう!」
「え?」
「私が話したら話してよね」
「うん、わかった」
「私さ。いじめられてたんだ、本当は!」
「え?でもあの時…」
「あの時は暗くなるかなと思って強がったの。今は時効だからね!はは」
「ははって…」
「かなりヘビーだったんだ。だからギャグ漫画に救ってもらったの」
「トイレット博士…」
「そう!あと、バカボンとかね。あの包帯も酷いことされてさ、今も消えないんだ、痣が」
「…」
「おまけに好きだった先生にフラれるし、唯一クラスで優しくしてくれた男子にはレイプされそうになるしさ。ほーんと最悪だったの。だからギャグ漫画読んであの日死のうと思ってたんだ本当は」
「え!」
「でも君が来てくれた。だからやめたの。命の恩人なんだよ、君は。ふふ」
「…」
「友達も地元にもいなかったの。私転校ばっかりしてたから。両親は小さい時に離婚してるし、母親に引き取られたんだけどね。その母親も一昨年事故で亡くなっちゃってさ。何で私ばっかりこんな目に合うんだろうって思ってたらさ、ん、ごめん!」
そこまで言ったら橋本さんの目から涙が溢れた。俺も聞きながらもらい泣きしてた。
「ごめんね、なんか。で、君は!?何があったの?」

言えるはずなかった。

その日は結局朝まで飲んで朝方カラオケまでして翌朝の仕事に遅刻した。

橋本さんとはそれからちょくちょく会うようになった。

俺は橋本さんが好きだ。

だけど今日も言えそうにないな。そう思って飲んだ居酒屋。

「ていうかさ、告白してよ!」
「え?」
「もうそれまで私に言わせんの?」
「あ、いや、あの…」
次の瞬間、橋本さんが俺にキスして、周りからなぜか拍手が起こった。

※この小説に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、女性ってこういうもんが溢れ過ぎててちょっと引いたとかいうリアルな苦情などはお断りします。



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by youngas | 2013-01-08 23:48 | XX KLUV3


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