人気ブログランキング | 話題のタグを見る

youngas blog

youngas.exblog.jp
ブログトップ
2010年 09月 30日

やがちゃんのXX KLUV(チョメチョメクラブ)2010 秋の特別編

やがちゃんのXX KLUV2010 秋の特別編とはYOUNGASの箭内さんプロデュースの高橋優をちゃんと聴いたら意外なほど良かったほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーを約1年ぶりに唐突に復活させてみただけの気まぐれな全3回のスペシャル企画です。


特別編〈AKB48〉


第2回


晴れた日の朝。窓の外、遠くにスカイツリーが見える。今何mぐらいなんだろうな。
一人そんなことを考えているとキッチンから「出来たよ〜」と麻里子の声がする。


キッチンに行く。そこには誰もいない。薄暗いキッチンに何も乗っていないテーブルがある。


「いってきます」
俺は小さくつぶやき扉を閉めた。


仕事帰りの秋葉原。ドン・キホーテの前。人通りが激しくBGMも大きい。今流行りのアイドルグループの劇場があるらしくポスターや看板の前で写真を撮る人達を横目にタバコに火をつけた。
「お兄ちゃん!お待たせ!」
「おぅ」
「ここ禁煙!」
タバコを引ったくり近くの灰皿に捨てる。妹の陽菜だ。
先月から一人暮らしを始めたから電化製品を一緒に見て欲しいと頼まれたのだ。どうせ買わすつもりだろう。


「お兄ちゃんさ、痩せたんじゃない?」
「そんなことないよ」
「一人で食べてるわけ?ちゃんと朝昼晩」
「うるさいな。人の心配はいいからお前自分の心配しろよな」
「はいはい」


ヨドバシカメラで散々買い物に付き合わされて結局空気清浄機を買わされ、その後上にあるレストランへ。
食べ終わり一服していると陽菜が切り出した。
「お兄ちゃんさ…麻里子さんのモノどうしたの?」
「送ったよ。向こうの実家に。一回お母さんが来たんだよ、家に」
「麻里子さんのお母さん…大丈夫だった?」
「あの事故から半年経ったからさすがに冷静にはなってたけど…やつれてたな」


半年前―。

麻里子は俺を送り出した後、支度をして自分の勤め先に向かって歩いていた。歩道を保育園の子供たちの列が通り抜けた。女の子が一人倒れたのを起こしに行こうと小走りで近づいたところにバイクがやってきて麻里子は女の子と一緒に数m先へ投げ飛ばされた。女の子は無傷で生還。麻里子は帰らぬ人となった。


俺はその日を境に現実と幻覚の区別のつかない日々を送っていた。


麻里子からメールが来たような気がしたり、ホームでスカイツリーを一緒に見上げているような気がしたり…。


「栄養あるもの食べなよね。今度お兄ちゃんち行くから」
陽菜はホームでそう言い残し電車に乗って帰って行った。
手を振って別れた後改札から外へ出て夜の街をトボトボと歩いた。ひんやりと夜風が頬を撫でる。
小さな商店街を歩く。ほとんどの店にすでにシャッターが下りていてコンビニの電気だけが眩しく道を照らしていた。
突然携帯が鳴り響く。
「もしもし」
「…」
「もしもし?」
「…」
いたずら電話か。そう思って切ろうとした瞬間「あの…」と女の子の声がした。

「もしもし?誰ですか?」
「あの…柏木です…」
「柏木?あ!柏木由紀!?」
高校時代に付き合っていた元彼女だった。約5年ぶりだった。
「お前、どうしたんだよ急に」
「…いや、別に。元気?」
「元気だよ。由紀は?」
「うん。元気。あのさ、今って何してるの?」
「今?しがないサラリーマンてとこかな」
「いや、うんと、そうじゃなくて、今って外?」
「あ、今って今ね。うん。外」


その後待ち合わせをして由紀と俺は5年ぶりに再会した。


駅前の居酒屋。
「乾杯」
「乾杯!いやぁ久しぶりだね。変わらないなお前」
「あのさ…彼女っているの?今」
「……ん?何だよ急に」
「いるのかなぁって。いないなら私頑張ろうかなぁって」
「ははは。何言ってるんだよ。お前がフッたんだぜあの時」
「あれはさ、若かったしね。まだ恋愛が何かわかってなかったの」


由紀は酒を飲み干すと饒舌になり、俺もその早いピッチに付いていくのが精一杯だった。元々酒の弱い俺はいつのまにか気を失っていた。
気付くと恐らく由紀の部屋。そのベッドの上にいた。横には由紀が眠っている。
起き上がろうとするが頭がガンガンして無理だった。


次に目を開けると部屋には電気がついていた。ぼんやりだが女性が腕組みして見下ろしている。眼鏡をかけると由紀の二コ上のお姉さん才加さんだった。状況がようやく飲み込めてきた。
「あんたさ、由紀の元カレだよね」
「あ。はい…」
「どういうつもりよ!」
俺は突然ベッドから引きずり出されてパンツ一丁で外へと投げ飛ばされた。
由紀が後ろで申し訳なさそうに見ている。
「この子の悪い癖は今に始まったことじゃないけど実家までノコノコと来ないで!とっとと服着て帰りな!麻里子のことあってからまだ半年じゃない!」
才加さんと麻里子は友達だった。うっすら目に涙を溜めた才加さんを直視出来ないまま俺は静かに服を着て明け方の街を歩いた。まだ頭痛がしている。


公園のベンチを見つけて腰掛けると目の前に建設中のスカイツリーが見えた。
朝露に濡れた草花を鳥たちが揺らし俺は大きなくしゃみをした。


続く


※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
またこの日記を読んで「秋の特別編て奇妙な物語風にしてるけどAKB=秋葉原の秋でもあるんだろ?」など本気で当ててくる感じもお断りいたします。

by youngas | 2010-09-30 10:24 | XX KLUV2010 秋の特別編


<< やがちゃんのXX KLUV(チ...      やがちゃんのXX KLUV(チ... >>