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2009年 05月 27日

やがちゃんのXX KLUV2

やがちゃんのXX KLUV2とはYOUNGASの好きなテレビはちい散歩なほう・シノダが完全妄想で理想の逢い引きをしてみるコーナーです。

第10回<柴咲コウ>

彼女と初めて逢ったのは大学生の時。友達みんなで旅行でやってきた沖縄だった。彼女は僕らがお世話になった民宿で働いていた。
気の強そうな子だったけど打ち解けると貧乏な僕らにすごく優しくしてくれて「私も来年東京に行くから」と連絡先も交換した。

彼女が東京に来る日。
僕はすっかり舞い上がっていた。そんな僕を見て仲間がからかいながらも送り出してくれたんだ。
東京駅で彼女を見つけた時、僕は心臓が飛び出るくらい驚いてしまった。
民宿で働いてた時の彼女は髪を束ねてTシャツに短パンだったけど笑顔で手を振る彼女は髪を下ろしてスカートでとにかく半端じゃなく綺麗な女性だった。
僕とは釣り合わないと思ってたけど彼女のほうから告白されてその夏に僕らは付き合うことになった。
どこへ行っても誰もが振り返り彼女を見てた。僕にはもったいないほどの人だった。
時々怒ると一日中機嫌が悪い日もあったけどずっと僕を見てくれていたし、僕も彼女を見てたと思う。

彼女が東京に出てきて2年が過ぎた。彼女は念願だった美容師になる夢を叶えた。僕はささやかながら彼女を祝福したし彼女もそれを喜んでくれた。
だけど彼女が僕より忙しくなってから何となく二人の歯車が合わなくなってきていることを僕も彼女も感じ始めていた。僕は彼女からの連絡をなぜかうっとうしいと思うようになっていた。
あんなに愛おしく思っていたのに順調に行っている彼女を妬ましく思うようになっていた。

「話があるから明日会って」
とメールが来た時、僕は怖くなって、電話をかけて一方的に別れを告げた。

「何で?」
と彼女がつぶやいたのが聞こえてたのに僕は電話を切ってしまった。
逃げ出したんだ。


あれからもう3年―。
二度と会うこともないと思ってた。
僕は新しい彼女と沖縄に来ていた。地味だけどマジメで優しい彼女を僕は大切に思っていた。でも心のどこかにコウがいるのも事実だった。あんなに人を好きになることはもうないだろう。
沖縄での休日はすぐに過ぎた。
東京に帰る朝。まだ彼女は寝ていた。
僕は泊まっていたホテルから一番近いビーチになんとなく行ってみた。
まだ朝が早いからか誰もいない。
と思ってたら誰かが静かな海をじっと眺めている。
女の人だというのがわかったぐらいでその人が何の気なしに振り返った。目が合った。二人とも言葉を無くした。コウだった。
あんな風に別れた彼女にバツの悪い顔を逸らすと彼女は笑顔で立ち上がりこちらへやってきた。固まっている僕。
彼女が口を開く。
「沖縄で初めて話したこと覚えてる?」
「え?」
「覚えてないか」
「…うん」
「上京を悩んでた私に飛び込むことだよって言ったの。君が」
「言ったかなぁそんなこと」
「小さいとき海が怖かったんだけど飛び込んでみたらすごくあったかくて優しかったって。もちろん海と一緒で東京はそんなにあったかくて優しいだけじゃないけど飛び込まなきゃ始まらないんだ!…って」
「言ったかもしれない…」
「私ね、ずっとありがとうって言えなかったって思ってた。ありきたりのセリフかもしれないけど私に勇気をくれたのは君のあの言葉だったから」
「…」
「ありがとう」
コウが笑った。
「ありがとう…なんて言われる資格ないよ…俺はあの時…」
「やっと言えた」
俺の言葉を遮ってコウがつぶやいた。
「あ、あとね、あの日…あなたに別れようって言われた日。私は一緒に住もうって言おうと思ってたの」
「え?」
「何だか先に別れを切り出して勝ったと思われてんのシャクだからね。結局色々あって沖縄に帰ってきちゃったけど」
「…」
「負けは私か…」
「ごめん…」
「謝んなくていいよ。運命だったんだよ。また友達と来てるの?それとも…」
「新しい…彼女と来てる」
「そっか…。幸せになってね。じゃあね」
コウが後ろを向いて歩き出した時、背中から抱きしめて引き止めようかすごく悩んだ。
結局ビーチから出て行くコウを見送った。
ビーチの入口まで行ったところでコウが振り返った。
笑顔で手を振ってくれた。
僕も手を振り返した。
そして彼女が見えなくなるまでいつまでも立ち尽くしていた。

朝の海がただただ優しく打ち寄せていた。

※この日記に関するお問い合わせ、質問、意見などは一切受け付けておりません。
また、この日記を読んで北の国の核実験は誠に遺憾などの本文に関係ないマジなヤツなどの苦情もお断りいたします。

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by youngas | 2009-05-27 07:48 | やがちゃんのXX KLUV2


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